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クリエイターズバトン:算法研究所/福田史裕氏

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株式会社算法研究所
取締役

福田 史裕

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1.今の仕事を始めることになったきっかけ

 今の仕事に就いたのはつい最近のような気がしますが、早くも四半世紀も前の話しになってしまいました。今のようなゲーム業界と言うものは私の学生時代には存在しませんでした。この仕事に就くきっかけを語る前に、コンピュータと出会うきっかけになったのが、プログラム式の電卓と手作りのボードコンピュータの雑誌記事でした。200ステップほどのプログラム(と言っても単純なコマンドの組み合わせです)が組める電卓は高校生だった私にとって無限の可能性を持つ夢の機械でした。そして自分でコンピュータを作ることができるということは、とんでもなくSF的で何世紀も未来を先取りした気分にしてくれました。これがきっかけで俄然コンピュータに興味を持つようになった私は、結局、大学は情報工学科に進み、ソフトウェアサイエンスにどっぷりつかることになりました。
 その一方で、元々の趣味であったSF研究クラブに所属していた。もちろんSFやアニメの話題で盛り上がっていましたが、メンバーの名かにボードゲームの愛好者が多くいたので、集まってはボードゲームを遊ぶことも良くありました。ウォーゲームからファンタジーゲーム、モノポリーやアクワイヤー、立体4目並べ、何でも有りでした。
 この事が、この業界に足を踏み入れる為の素地になっていたと思います。
 そして直接的なきっかけになったのは、私が社会人になり、やっとパソコンと呼ばれるものが世の中に出回り始めた頃でした。
 東京でソフト開発の仕事に携わっていた私は、1年かけて貯めたお金で当時の最新機種であるPC88(NEC)を買いました。そこで初めて購入したゲームがロードランナーでした。
 このロードランナーを遊び込んだ挙げ句に自作面をせっせと作っていた処、ひょんな事から解説書を書かないかという話しが飛び込んできました。東京で仕事をしていた私は福岡にUターンする事を考えていたので、いい機会だと思って脱サラをしてしまいました。その後、コンピュータ雑誌に記事を書いたり、プログラムの仕事をしながら1年ほど過ごしましたが、「大戦略」(シミュレーションゲーム:システムソフトアルファ)を商品化する仕事を手伝ったのをきっかけにゲームの仕事にずっぽりと埋まる事になりました。
プログラマだった私が何故か、この道に進むきっかけになったのは本を書くことからだったのは不思議な感じでしたが、自分の趣味の分野を生かせる道に進めたことは幸せだったと思います。

 

2.どんな仕事をしていますか?

 若い頃はプログラマーとして仕事をしていましたが、ゲーム自体のシステム(ルールを含めた論理的な設計)を作る事に時間を割くことが多くなり、今現在は、開発部隊のプロダクトの全体を管理する事と、ゲームの論理的な仕様設計を主にやっています。企画的なことやアイデアの提供という形で参加する事もあります。

 

3.私にとっての思い出のゲーム。

●ロードラナー
これは、前述しましたが、私にとってゲーム業界に進むきっかけとなった作品なので一番思いで深い作品です。
プレイヤーキャラと番兵、ブロックと梯子、黄金と非常に単純な要素で、複雑な面が構成できるこのゲームは、表面的にギミックを増やし複雑化する今のゲームの傾向と比べると、本当に良くできたゲームだと思います。また、面を解くにしても作るにしても単なるアクション性だけでは無い知的なパズル要素が織り込まれていて今でも十分通用するゲームです。
●ウィザードリー
 何故かウルティマよりもハマりました。どうもアバターと言う成人君主的な感覚が性に合わなかったようです。どのくらいハマったかと言うと、目をつぶっても最下層まで行くことができるくらいハマりました。ゲーム機を購入する動機はウィザードリーが移植されている事です。ゲームボーイでアスキーが移植したウィザードリーが今までの移植で一番完成度が高いのではないでしょうか。
●ドアドア
 チュンソフトの中村光一が作ったゲームですが、私が初めて自力でプロテクトを外したソフトです。当時は買ってきたゲームを解析してプロテクトを外すのも一つの楽しみでした。ゲーム自体をプレイする事と内部解析をする事は同じくらい面白かったことを思い出します。ゲーム業界に入ってから自身がプロテクトを掛ける側に回ったので、この経験は随分と役立ちました。

 

4.最近読んで面白かった本やおすすめの映画はこれ!

「ばいばい、アース」
 冲方丁の作品です。
ファンタジーと仮想現実を独特の世界観で構成した面白い作品です。スピード感のある戦闘シーン、独特の造語の巧みさ、魅力的な主人公である「ことわりの少女」ベルを始めとする個性的な登場人物達、機会があれば是非手にとって欲しいです。
最近の若手作家の中では群を抜いた筆力の作家だと思っています。表現力、構成力共に次世代のSF界を担って欲しいと思います。

「狐笛のかなた」
上橋菜穂子さんの作品です。「守り人」シリーズはNHKでアニメ化されたので有名ですが、「狐笛のかなた」はとても好きな作品です。古い日本の原風景を見せてくれるような表現描写と重なって、重い運命を背負う少女、小夜と使い魔として生きる狐の野火、2人の運命が交差して行く中、切なく悲しいけれど、どこか心が温かくなる不思議な世界を味合わせてくれた作品でした。

「おたくは既に死んでいる」
 岡田斗司夫の著書です。年齢的に近い性か、彼の論法が私には一番しっくりきます。
タイトル通り、おたく文化の今を語った作品です。論客でもある岡田氏がおたく文化の編成をどう捉えているか興味のある方は読んで見てください。
 ついでに「戦闘美少女の精神分析」「おたくの精神史」など関連書籍を見るのもいいでしょう。

 

5.ゲーム業界を目指す方へアドバイス

 この業界に身を事が「遊び手」から「作り手」になったと言う事です。自分では無く、他者が楽しいと思う物を提供する事が仕事なのです。だから他者が感動する事が、自身の感動だと思える事が大切な事です。「他人を喜ばせる」にはどうすれば良いのかと常に考え続ける事が大事なのです。
 しかし、自分が楽しいと思う事も同じように大切です。自分が感動してみなければ、他の人が感動するような物を作れるはずがありません。だから、社会人になる前に色々な経験を積んで欲しいと思います。もちろん勉強もしなければなりませんが、面白そうだと思う事だけでは無く未知の物にもどんどん手を出して、「感動捜し」をして欲しいのです。
 エンターテインメントとは「感動」を人に伝える仕事とも言えます。
 これからのゲームの作り手になって行く人には、是非、新しい、誰も知らなかったような感動を沢山持って来て欲しいのです。

 だから、あえて言いたいのです。
「ゲームばっかりしてないで、もっと遊んでください」

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